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渋野日向子 逆境での対応力と「持続」という名の課題 ホンダLPGAタイランド【プレイバック2025】

2025/12/11

2025年2月20日から23日にかけて開催された「ホンダLPGAタイランド」は、渋野日向子にとって、己の現在地を測る重要な序盤戦であった。最終的な戦績は54位タイ。予選カットのない72ホールを戦い抜いたこの順位は、渋野日向子のゴルフが持つ「爆発力」という名の希望と、「持続」という名の課題を、同時に突きつけた。

起死回生の「67」と失速の現実

大会は、渋野日向子にとって試練から始まった。初日、3バーディ・6ボギーの「75」を叩き、61位タイと大きく出遅れる。その差は首位と13打。このまま埋もれてしまうかと思われた。しかし、第2ラウンドで一変した。イーグルを奪うなど、「67」をマークし、順位を一気に38位タイへと急浮上させる。この「67」という数字こそ、渋野日向子が世界のトップレベルで通用する能力を有していることの揺るぎない証明であった。だが、LPGAの戦いは甘くはなかった。第3ラウンドでは「74」とスコアを落とし50位タイへ後退。最終日も粘りのゴルフで「71」とまとめるも、結果は54位タイに落ち着いた。

逆境での対応力と課題

第2ラウンドでの巻き返しは、渋野日向子のゴルフの底力であり、最大の魅力であった。窮地から脱する、その大胆さと決定力は、他の追随を許さない。一方で、最終的な54位タイという順位は、予選落ちがない大会での立ち位置として、上位争いに絡めなかったという厳然たる事実を突きつけた。最終的に首位との差は27打差に及び、この大差は、渋野日向子のゴルフが、トップレベルで戦い続けるための「安定した土台」の構築を急務としていることを示唆していた。

渋野日向子にとっての「54位タイ」の重み

ホンダLPGAタイランドにおける54位タイという戦績は、渋野日向子にとって、単なる通過点ではなかった。それは、渋野日向子のキャリアを特徴づけてきた「爆発力」という天賦の才が、年間を通じて安定した高順位をもたらすには、まだ不確実な要素が多いという、現実の提示であった。個々のラウンドで輝く力はあれど、4日間を高いレベルで持続し、熾烈な優勝争いに食い込むための、総合的なタフネスと精度の欠如を浮き彫りにした。

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